森の雑記

本・映画・音楽の感想

宇宙には、だれかいますか?

宇宙には、だれかいますか? 科学者18人にお尋ねします。 はじめに 夜空を見なくなったと思う。子供の頃は頻繁に流れ星を探したり、親に星座を教えてもらったりしていた気がする。オリオン座を見つけた時の得意げな気持ちだって覚えている。けれど大人になっ…

日本語作文術

日本語作文術 伝わる文章を書くために はじめに 何度も記事を書いていると、定期的に「文章術」系の本を読みたくなる。それはもちろん文章力を向上させるためである。だが一方で、内容をみて「当たり前だなあ」と思う部分が多ければ、自分の成長も実感できる…

日本人のひるめし

日本人のひるめし はじめに 「1日3食」は誰にとっても自明な食事習慣である。これには反論もあるだろう。「朝食は食べられないんですよね、」だがこれも、あくまで3食を基準にした上で「1食少ない」意識から来ている意見だ。やはり現代の僕らは食に関して、…

怪しい来客簿

怪しい来客簿 はじめに 岸本佐知子さんの「いま、これ読んでる」より、色川武大著「怪しい来客簿」(文集文庫)を読んだ。不思議なタイトルと風船のように太陽を持つ男の表紙、どちらも心がざわつく1冊である。 全体をみて 著者色川武大は一体どんな人生を歩…

脳は、なぜあなたをだますのか

脳は、なぜあなたをだますのか はじめに 僕らは絶えず意思決定をして生きている。夕飯のメニューとか、デートの服装とか、今日読む本とか。生きることは主体的な選択の連続である。 と思うだろう。 妹尾武治著「脳はなぜ、あなたをだますのか」(ちくま新書…

気のきいた短いメールが書ける本

気のきいた短いメールがかける本 はじめに 就活を経て、社会人に近づくとメールで事務的なやりとりをすることが増えた。メールでの連絡には慣れていないので、ついつい作成に時間がかかってしまうこともある。もっとスマートに、素早くメールが作れるように…

希望の政治

希望の政治 都民ファーストの会講義録 はじめに 小池都知事が再選を決め、任期を伸ばしたのが3ヶ月前。圧倒的な露出度、親しみやすさをもって余裕のある勝利を果たしたように見える。公約の達成度合いやコロナ禍対応など、もちろん課題は残るところだが、盤…

記者は何を見たのか

記者は何を見たのか 3.11東日本大震災 東日本大震災が起こったとき、僕は小学校6年生、卒業式練習の真っ最中だった。震源からはそれなりに離れた県に住んでいたので、揺れはそう大きくなかった。加えて僕が住んでいた場所は、そもそも自身が起こりやすい地域…

藤原道長の日常生活

藤原道長の日常生活 はじめに 「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」 かの藤原道長が千年前に詠んだ和歌は、彼の尊大なイメージとともに多くの日本人が知るところとなった。歴史や古典の授業で彼の名前を聞かないことはないし、「大…

奇跡の論文図鑑

奇跡の論文図鑑 はじめに 大学生生活では数多くの論文を読んだように思う。それで、ものすごく当たり前のことをいうことになるけれど、やっぱり論文はすごい。何がすごいかと言えば、一つにはほとんどの論文は無料で読めることがあげられる。Ciniiで論文を検…

牡蠣の歴史

牡蠣の歴史 はじめに 「好きな料理は?」と聞かれると答えに困る。カレーライスも好きだし寿司も好きだ。ラーメンだって美味しいしたまに食べるステーキも絶妙である。そしてこれらの間に差があるかと言えば、ない。金額やロケーションに差はあれど、好きの…

東京日記 

東京日記 はじめに 詳細は忘れたがなにかの拍子に内田百閒という作家を知った。読みは「うちだひゃっけん」見たこともない漢字が使われているな、というのが最初の印象である。この作家さんは時を遡ること1971年に死去されているのだが、ファンが多いらしい…

憲法という希望

憲法という希望 はじめに この間塾で公民の授業をしていると、テキストに「集団的自衛権」についての記述を見つけた。少し複雑な概念なので、重要な理由も含めてきちんと教えようとしたら、ついつい喋りすぎた。大学で憲法を勉強したからと言って、公民系の…

銀河ヒッチハイク・ガイド

銀河ヒッチハイク・ガイド はじめに 先日紹介したTSUTAYAの企画「いま、これ読んでる」。これには森見登美彦先生意外にも多くの方々が選者として参加していて、翻訳家の岸本佐知子さんも名を連ねる。僕は「ネにもつタイプ」を読んで以来彼女のファンであるの…

ぼくらの仮説が世界をつくる

ぼくらの仮説が世界をつくる はじめに ビジネス書にはスピード感がある。比較的読みやすいから短時間でコンテンツ摂取が終わるし、書いてあることが現実に根ざしているから即効性もある。これがスピード感の正体であろう。だがしかし、多くの即効薬や短期間…

TVピープル

TVピープル はじめに 読んだことのない作家の本を開くときはいつもドキドキする。好きな作家の作品であれば、読む前からあらすじ等の事前情報が入ってくる。著者SNSをフォローしていたり、巻末に他作の紹介があったりするためだ。翻ってこれまで縁のなかった…

ボートの三人男

ボートの三人男 はじめに 今年の6月ごろ、TSUTAYAが面白い企画商品を売っていた。名前は「いま、これ読んでる」。著名な作家が文字通り「読んでいる」作品をセレクトして、セット発売する商品だ。参加する作家には敬愛する森見登美彦先生や岸本佐知子さんも…

きまぐれ博物誌

きまぐれ博物誌 はじめに エッセイを読むのは面白い。大抵のエッセイは著者の主観や見解がふんだんに塗されているからである。フィクションを通すと間接的に受け取らざるを得ない書き手の思想だが、エッセイならダイレクトに味わえる。それが大好きな著者だ…

ごはんぐるり

ごはんぐるり はじめに 料理は嫌いじゃない。特別おいしいものを作れるわけでもないし、ことさらにワクワクすることもないけれど、料理がめんどくさいと思ったことは一度もない。一人暮らしを始めて以来、当たり前のように自炊を続けていると、いつの間にか…

日本の妖怪

日本の妖怪 はじめに 「妖怪ウォッチ」が爆発的に流行ったことがあった。ポケモンにも言えることだが、やっぱり日本にはキャラものがウケる土壌があるんだと思う。その原点はもしかしたら江戸時代の妖怪ブームまで遡れるかもしれない。 民俗学の本を読んでい…

三島由紀夫レター教室

三島由紀夫レター教室 はじめに 最近は小説を読んでいなかった。ここ1ヶ月では森見先生の新作くらいしか読まずにいた。このくらい疎遠になってくるとなんとなく寂しくなるもので、小説を探すことに。久々に読むのだから歯応えのあるやつがいい。けれどしばら…

いちばんやさしい美術鑑賞

いちばんやさしい美術鑑賞 はじめに 先日、国立西洋美術館の「ロンドンナショナルギャラリー展」に行った。「ひまわり」を含む日本初公開の絵画たちを目の当たりにし、とても感動した。だがそれと同時に、「もっと楽しみたい」という欲求が生まれた。僕は芸…

装丁物語

装丁物語 はじめに 本は美しいものであって欲しい。初めて星新一のショートショートを手に取った時の感動は今も忘れられないし、森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」を目にした時のワクワクはまるで昨日のことのように感じられる。前者は真っ白な表紙に描か…

ANAとJALこんな違いがあったのか

ANAとJAL こんな違いがあったのか はじめに 感染症の流行で航空業界は壊滅的とも言える打撃を受けた。Gotoを利用して旅行しようとする人はまだまだ少数派だし、航空業界を目指す友人は途中で採用が中止された。エアラインはまさに窮地に立たされていると言っ…

PEOPLE1 「常夜燈」

PEOPLE1「常夜燈」 はじめに 先日の夜はなかなか寝付けなかった。そんな時は漫画を読むに限る。そういうわけでもう何度目か忘れたが、「チェンソーマン」を一気読みした。最新話の鬱展開もさることながら、やはりこの作品は恐ろしい。 読み終わり、まあ音楽…

四畳半タイムマシンブルース

四畳半タイムマシンブルース はじめに 「タイムマシン」それは洋の東西を問わずそこかしこに出てくる、時空を移動するためのツールだ。誰だって戻りたい過去があるし、覗いてみたい未来がある。人類共通の願いを叶えるこの機械は、多くの物語で主要なモチー…

『古事記』神話の謎を解く かくされた裏面

『古事記』神話の謎を解く かくされた裏面 はじめに この間書いたように、僕は日本の神話が大好きである highcolorman.hatenablog.jp 古事記はそもそもストーリーが面白い上に、その成立背景に多くの・複雑な事情を抱えているところが良い。「みんなが知って…

南方熊楠と説話学

南方熊楠と説話学 はじめに 文庫、新書、ハードカバー、雑誌…本には様々な種類がある。その中でお勧めしたいのが「ブックレット」だ。厳密に定義するのは難しいが、ここでは文庫本よりは大きく、100pくらいのサイズで事実を書いた本を指すことにする。 国内…

初めの一歩は絵で学ぶ 微生物学

初めの一歩は絵で学ぶ 微生物学 はじめに 高校の頃生物の授業が好きだった。高校の頃「生物」のテストで、1位の座を死守し続けたぐらい好きだった。文系なのに。「生物基礎」では物足りなかった。実際に生き物と触れ合うのは苦手だけれど、教科書に登場する…

新しい文章力の教室

新しい文章力の教室 はじめに はてなブログを書き始めてから4ヶ月が経った。これまでに70本以上の投稿をして、各記事の文字数はだいたい1500〜2000文字だ。それなりにたくさんの文章を、それなりに長い分量で書いてみて気になったのは、この文章は「きちんと…