森の雑記

本・映画・音楽の感想

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

受験脳の作り方 

受験脳の作り方 はじめに 今年の大学受験生はさぞかし悩んでいることだろう。民間試験導入中止、センター試験の存続、新型コロナウイルス、多くのトラブルにより先が見通せない。自分は塾講師のアルバイトをしているゆえに、生徒達にどんなアドバイスをすべ…

君はポラリス 疑問が彩る人間関係

君はポラリス 疑問が彩る人間関係 はじめに 先日「罪と罰を読まない」の記事を書いた際、三浦しをんさんの代表作として「君はポラリス」をあげさせていただいた。しかし、代表作と挙げていながら、僕はこの作品を断片的にしか読んだことがなかった。恥ずかし…

トヨタ流「改善力」の鍛え方

トヨタ流「改善力」の鍛え方 はじめに 緊急事態宣言が全国で解除された。これから少しづつ経済活動も再開される。これにより、「新しい生活」と同時に「新しい経済」も形作られるのだろう。今までに培った企業的ノウハウが役に立たなくなることも考えられる…

アルテ ルネサンス期の女性画家

アルテ ルネサンス期の女性画家 はじめに 男女の平等がより強く求められるようになった昨今。夫婦別姓、就活のヒールなど目に見える形の問題もあれば、我々の意識や注意など、精神的で目に見えないことも男女差の課題として挙げられる。 こうした事柄に関し…

「罪と罰」を読まない

「罪と罰」を読まない はじめに かの名作、ドストエフスキーの「罪と罰」は、タイトルを知っている人に比べて読んだことがある人が少ないことでも有名だ。本書は「君はポラリス」の三浦しをん先生や、翻訳家でエッセイストの岸本佐知子さん、クラフトエヴィ…

9つの性格 エニアグラムとは何か

9つの性格 エニアグラムとは何か はじめに 血液型占いや星座占い、タロットカードなど、この世には溢れんばかりの「占い」が存在する。これらを本気で信じている人は今や少数派だろうし、科学的根拠がないことも誰もが知っている。それでも、朝、ニュース番…

Reol 「1LDK」

Reol 「1LDK」 はじめに 世の中に数ある歌詞付きの楽曲に2つの視点を考える。抽象と具体、2つの要素で歌詞を聞くとブレンドの割合は各曲で様々だ。例えばSHISHAMOの「君と夏フェス」。この曲は非常に具体度が高い。付き合いたての二人が夏フェスに行き、「私…

サルが食いかけでエサを捨てる理由

サルが食いかけでエサを捨てる理由 ヒトと動物は異なるか はじめに タイトルを読むだけで果物を持ってさまようサルが想像できてしまう。ちくまプリマー新書から発行された本書は、同レーベルの他本と同様に「クラフト・エヴィング商會」が装幀を手掛けており…

日本人と象徴天皇 昭和から平成、令和へ

日本人と象徴天皇 昭和から平成、令和へ はじめに 天皇に関する言論には、しばしば大きな賛否がつきまとう。僕はその是非や制度の背景などに明るくないので、いまだ自らの立場を明確にできない。それでもこの制度、「象徴」天皇制について少しでも多くのこと…

映画 夜は短し歩けよ乙女

映画 夜は短し歩けよ乙女 ナカメ作戦と腐れ大学生 はじめに 日に日に暑さが増していくこの頃、長袖はもう役立たずになった。日が出ている時間も長くなるばかりで、夜は少しづつ短くなっていく。以前にも書いたけれど、僕にとって夏と言えば、高校時代の京都…

世界は宗教で動いてる

世界は宗教で動いてる はじめに 自分が息をひきとる時を考えると、多くの日本人は同時にお葬式のことを思い浮かべるのではないだろうか。そして葬儀について、大多数の人が仏教式のお経やご焼香を伴うものを想像する。だが、その宗派は?と聞かれると、答え…

百姓貴族 ハガレン作者の農業エッセイ

百姓貴族 ハガレン作者の農業エッセイ はじめに 疫病、国際対立、不況、、様々な困難に直面してもなお、人間は「食」から逃れることはできない。なんだか物々しい前置きになったが、コロナ禍の現在でも食べることは万人に共通して必要なことで、長い歴史の中…

東大のディープな日本史 暗記は解釈に勝てない

東大のディープな日本史 暗記は解釈に勝てない はじめに 受験戦争という言葉が使われるようになってから久しい昨今、日本においてその頂点に立つのが東京大学であることに異論を唱える人はあまり多くない。本気で受験勉強に取り組んだことのある人なら、一度…

ジャーナリズムの可能性 批判的であれ

ジャーナリズムの可能性 批判的であれ はじめに ブックオフに立ち寄って本を物色していたところ出会ったこの本。自分のこれからを考えるうえで読んだほうがいいかな、と思い購入した。原寿雄さんが岩波新書から出版したものだ。岩波新書と言えば、最近は「独…

美女と竹林 森見風エッセイ仕立て

美女と竹林 森見風エッセイ仕立て はじめに めっきり暑くなって、夏の足音が聞こえる昨今。そろそろ半袖の服を用意したほうがよさそうだ。気温が上がってくると、高校の夏休み、二年連続で出かけた京都を思い出す。中学で転校してしまった友人の家を訪ね、青…