森の雑記

本・映画・音楽の感想

発想の整理学

発想の整理学 AIに負けない思考法 はじめに 故外山滋比古先生が書いた「思考の整理学」のパクリと見紛うようなタイトル、さらに「AIに負けない」といかにも最近ありがちなサブタイトルを備えたこの本を見て、少し嫌な気持ちがしたのは事実である。でもまあ外…

森見登美彦の京都ぐるぐる案内

森見登美彦の京都ぐるぐる案内 はじめに 高校と大学で合わせて5回くらい京都に行った。理由は2つある。中学時代の友人が京都に引っ越してしまい、彼に会いに行くため。それから森見登美彦作品を読んだためである。 新潮文庫から発行された「森見登美彦の京都…

子どもの人権をまもるために

子どもの人権をまもるために はじめに ついこの間まで高校生だったような気もするが、そろそろ自分を子供だと認識するのが難しい年齢になった。就活を経て社会人を目前にすると、いやでも「大人」になっていると感じてしまう。 大人を自認することは、「子供…

SNSマーケティング 第2版

デジタル時代の基礎知識 SNSマーケティング 第2版 「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール はじめに 「SNS時代」を叫ぶにはもはや時代遅れの昨今。SNSを使いこなすことはビジネスパーソンに必須のスキルであろう。そしてその使い方は1つではな…

アラビアンナイトを楽しむために

アラビアンナイトを楽しむために はじめに ディズニーの映画の中で一番好きなのは「アラジンと魔法のランプ」だ。去年公開された実写版は3度も見に行った。あの世界の香り立つ感じというか、熱気というか、そんな部分にはどこか惹かれるものがある。いつか実…

スルメを見てイカがわかるか!

スルメを見てイカがわかるか! はじめに 先日帰省したときに、養老孟司・茂木健一郎著「スルメを見てイカがわかるか!」(角川書店)を実家の本棚から拝借した。タイトルに惹かれて高校生だか中学生だかの頃に1度読もうとしたのだが、内容が全然頭に入ってこ…

多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ

多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ はじめに しばらく前にSNSで話題になったJamさんの本「多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。」(サンクチュアリ出版)を、1度読んでみたかった。2年ほど前に出版された本だが、タイトルが特徴的なのでずっと頭…

短編小説講義

短編小説講義 増補版 はじめに 筒井康隆といえば、星新一、小松左京と並ぶ日本SF御三家の1人である。彼が原作を書いた映画「パプリカ」は独特な映像が気になる代物で、いつか観ようと思っている。ネットフリックスのマイリストに入りっぱなしであるが。 そん…

記憶の盆をどり

記憶の盆をどり はじめに 先日読んだ「きげんのいいリス」は小説と呼ぶにはライト、かつ深すぎた。決して貶しているわけではなく、ものすごくいい本だったのだけれど。となるときちんと「ザ・小説」みたいなものを読んだのは色川武大「怪しい来客簿」まで遡…

ずぼらヨガ

ずぼらヨガ 自律神経どこでもリセット! はじめに 最近は若干昼夜逆転気味の生活を送っている。夜思った時間に寝られないことも時々ある。事情があるので仕方ないとはいえ、できれば人らしいタイミングで眠りたいものだ。悩みというほど深刻なものでなく、あ…

The Third Door 精神的資産のふやし方

TheThirdDoor 精神的資産のふやし方 はじめに ここ数日移動が多かったので、道中自己啓発本でも読もうかと思って、アレックス・バナヤン著、太田黒奉之訳「サードドア」を取り寄せた。届いたそれを手に取ると、思ったより分厚く、ずっしりという形容がよく似…

哲学の練習問題

哲学の練習問題 はじめに 思考実験の本が読みたくていろいろ探していたところ、本書に出会った。河本英夫著「哲学の練習問題」は講談社学術文庫から出版されている。このレーベルの本をこれまでに読んだことはおそらく数えるほどしかないので、どんな雰囲気…

きげんのいいリス

きげんのいいリス はじめに 意表をつかれるタイトル。新潮社「きげんのいいリス」は、オランダの作家で医師、トーンテレヘンの著作を長山さきが翻訳した本である。現代を忠実に訳すと「ほとんどみんなひっくり返れた」となるようだが、あえてこのタイトルを…

夜しか開かない精神科診療所

夜しか開かない精神科診療所 はじめに 大きなストレスを感じたことがない。どちらかと言えば気楽な性格だし、小中高大とことさらに負荷の高い環境にいたこともなかった。小学生の時に1度人間関係で悩んだような記憶があるけれど、それだって今思えば些細なも…

自衛隊と憲法

自衛隊と憲法 これからの改憲論議のために はじめに 安倍氏が首相を辞任してからひと月あまりがたった。いまだに「菅首相」の響きには慣れない。それだけの長期政権だった。安倍前首相は周知の通り「憲法改正」を目指しており、賛否両論ありながらも、安倍政…

きまぐれ星のメモ

きまぐれ星のメモ はじめに 星先生1冊目のエッセイ集を読んだ。先月はまた別のエッセイ集「きまぐれ博物誌」を読んだが、これは2冊目のエッセイ集だった。順序が逆にはなったが、こちらもぜひ読みたいと思っていたところ、ようやく読むことができた。 星新一…

財務官僚の出世と人事

財務官僚の出世と人事 はじめに 「財務省にあらずんば」「東大法学部にあらずんば」こんな言葉がまことしやかにささやかれる、官僚の世界。言葉の真偽はさておき、中央省庁では日本きってのエリートたちが日々切磋琢磨していることに間違いはないだろう。中…

英国式 暮らしの楽しみ方

英国式 暮らしの楽しみ方 はじめに イギリスが嫌いだという日本人とあったことがない。和訳するとめちゃくちゃに長い正式国名、アヘン戦争や悪名高い二枚舌外交など、普通に歴史の授業を受けていればまあまあ悪い印象を持ちそうなのに。それでもやっぱり僕ら…

新聞の力 新聞で世界が見える

新聞の力 新聞で世界が見える はじめに 「新聞離れ」が言われ始めてから長い年月がたった。僕の同世代では日経電子版の無料コースに入っていれば、まだ「新聞に馴染みのある」方に分類されるくらいである。20代前半なんて就活時、社会情勢を眺めるために使う…

村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事

村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事 はじめに 村上春樹の小説を1冊しか読んだことがないのにこの本を読むのは、自分でもどうかと思う。翻訳に至っては1冊も読んでいないし。それでも綺麗な表紙と「翻訳」の言葉に引かれて本書を手に取ることを、寛大なファンの…

TENET

TENET はじめに クリストファー・ノーラン監督。超有名なのでもちろん名前は知っていたけれど、インセプションやダークナイトを友人にゴリ押しされながら、なんとなく彼の作品を観てこなかった。いつかはね、みたいな。 そう思っていると、新作「TENET」が公…

宇宙には、だれかいますか?

宇宙には、だれかいますか? 科学者18人にお尋ねします。 はじめに 夜空を見なくなったと思う。子供の頃は頻繁に流れ星を探したり、親に星座を教えてもらったりしていた気がする。オリオン座を見つけた時の得意げな気持ちだって覚えている。けれど大人になっ…

日本語作文術

日本語作文術 伝わる文章を書くために はじめに 何度も記事を書いていると、定期的に「文章術」系の本を読みたくなる。それはもちろん文章力を向上させるためである。だが一方で、内容をみて「当たり前だなあ」と思う部分が多ければ、自分の成長も実感できる…

日本人のひるめし

日本人のひるめし はじめに 「1日3食」は誰にとっても自明な食事習慣である。これには反論もあるだろう。「朝食は食べられないんですよね、」だがこれも、あくまで3食を基準にした上で「1食少ない」意識から来ている意見だ。やはり現代の僕らは食に関して、…

怪しい来客簿

怪しい来客簿 はじめに 岸本佐知子さんの「いま、これ読んでる」より、色川武大著「怪しい来客簿」(文集文庫)を読んだ。不思議なタイトルと風船のように太陽を持つ男の表紙、どちらも心がざわつく1冊である。 全体をみて 著者色川武大は一体どんな人生を歩…

脳は、なぜあなたをだますのか

脳は、なぜあなたをだますのか はじめに 僕らは絶えず意思決定をして生きている。夕飯のメニューとか、デートの服装とか、今日読む本とか。生きることは主体的な選択の連続である。 と思うだろう。 妹尾武治著「脳はなぜ、あなたをだますのか」(ちくま新書…

気のきいた短いメールが書ける本

気のきいた短いメールがかける本 はじめに 就活を経て、社会人に近づくとメールで事務的なやりとりをすることが増えた。メールでの連絡には慣れていないので、ついつい作成に時間がかかってしまうこともある。もっとスマートに、素早くメールが作れるように…

希望の政治

希望の政治 都民ファーストの会講義録 はじめに 小池都知事が再選を決め、任期を伸ばしたのが3ヶ月前。圧倒的な露出度、親しみやすさをもって余裕のある勝利を果たしたように見える。公約の達成度合いやコロナ禍対応など、もちろん課題は残るところだが、盤…

記者は何を見たのか

記者は何を見たのか 3.11東日本大震災 東日本大震災が起こったとき、僕は小学校6年生、卒業式練習の真っ最中だった。震源からはそれなりに離れた県に住んでいたので、揺れはそう大きくなかった。加えて僕が住んでいた場所は、そもそも自身が起こりやすい地域…

藤原道長の日常生活

藤原道長の日常生活 はじめに 「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」 かの藤原道長が千年前に詠んだ和歌は、彼の尊大なイメージとともに多くの日本人が知るところとなった。歴史や古典の授業で彼の名前を聞かないことはないし、「大…