森の雑記

本・映画・音楽の感想

花束みたいな恋をした

花束みたいな恋をした はじめに 話題の映画「花束みたいな恋をした」を観た。予告やクチコミを目にする限り、共感性羞恥を催しそうなのであまりみたくなかったが、妹に誘われたので喜んで映画館に向かった。 以下、思ったこと。 深夜の居酒屋 麦と絹は初めて…

「話し方」の心理学

「話し方」の心理学 はじめに 巷に溢れるコミュニケーション本は、大体表紙が白い。そこに黒くて太い文字でタイトルが書いてある。帯には中田敦彦かDaigoの推薦コメントが書いてある。内容は「話すより聞け」。偏見がすぎるかもしれないが、コミュ本への個人…

図説 世界史を変えた50の食物

図説 世界史を変えた50の食物 はじめに 食べ物の映像を見たり、文章を読んだり、話を聞くのが好きだ。もしかしたら食べることそれ自体より好きかもしれない。こうなったのは「食生活改革」の名の下、毎日ほとんど同じ食事をとるようになってからだ。以降、お…

新作落語の舞台裏

新作落語の舞台裏 はじめに 落語を生で聞いたことはほとんどない。中学時代、毎年の「古典芸能鑑賞日」で落語が対象になった会もあるが、大変失礼ながらほとんど睡眠に費やしたくらいである。落語とは縁のない生活を送ってきた。 だが最近、YouTubeで立川談…

察しない男 説明しない女

察しない男 説明しない女 はじめに 最近の世相からすると、信じられないようなタイトルの本「察しない男 説明しない女」を読んだ。「男はこう」「女はこう」みたいなレッテルを貼るのには反対だが、本書は2014年にディスカヴァートゥウェンティワンから出版…

西の魔女が死んだ

西の魔女が死んだ はじめに 塾で中学生を教えていたら、模試の国語で「西の魔女が死んだ」の一節が登場した。鶏が登場する部分を読み、この物語を全部読んでみたいと思った。塾講師をやっているとこういう出会いがあるので助かる。 新潮社発行、梨木香歩著。…

アウトプット大全

アウトプット大全 はじめに 1年ほど前からどこの書店に行ってもあるのが「インプット大全」と「アウトプット大全」。ずっとそれなりに気にはなっていたが、ビジネス書はあまり得意じゃない上に、「いつかyoutube大学でやるだろう」みたいな心境で、手を出し…

はじめての投資信託

始めての投資信託 はじめに 高校時代に株式の勉強をしてから、ずっと投資に興味があった。教えてくれた先生もなるべく早く始めることを勧めてくれていた。けれど、部活、勉強、飲み会、、学生らしさを満喫するうちに、投資のことは頭の隅に追いやっていた。 …

マンガでわかる 「西洋絵画」の見かた

マンガでわかる 「西洋絵画」の見かた はじめに 美術の本を読むのはこれが3冊目だ。全て入門書というか、門戸を広くとった本であり、これらを読んでいると少しだけ美術にも明るくなった気がする。 今回は誠文堂新光社発行、池上英洋監修、まつおかたかこイラ…

パブリックスピーカーの告白

パブリックスピーカーの告白 はじめに 人前で話すのはけっこう好きなほうだ。みんなが自分の方をむいてくれているのはちょっとした快感だし、何もしてなくても偉くなったような気分になる。 けれど、今までこう感じてこられたのは、そのスピーチに責任やお金…

リモート営業入門

リモート営業入門 はじめに リモート飲み会、リモート収録、リモートワーク…リモート〇〇は僕らの生活に完全に根を下ろした。家にいながらのコミュニケーションには多少のストレスを感じないでもないが、その違和感を補ってあまりあるほどの手軽さを僕らに提…

乱読のセレンディピティ

乱読のセレンディピティ はじめに ここで本や映画の感想を書き始めてから10ヶ月がたつ。数えてみるとこれまでおよそ150冊の本を読んできたようだ。月に15冊、2日に1冊読んでいる計算になり、振り返ってみると自分でも驚くほどである。 全ての本を精密に読ん…

ロングセラーパッケージ大全

ロングセラーパッケージ大全 はじめに 黒のVANSオールドスクール、明治美味しい牛乳、おかめ納豆、僕たちの身の回りにはたくさんの「定番」がある。ずっと変わらないそれは「とりあえずこれ」という安心感を与えてくれるし、事実パフォーマンスがいい。 けれ…

源氏物語を知っていますか

源氏物語を知っていますか はじめに 源氏物語にまとめて「触れた」経験が3度ある。 1度目は高校生の時。受験や模試の古典にはこの大河ドラマがとられることが多い。そのためある程度話を知っておけば、読解問題に有利だと考えた。そこで「漫画でわかる」的な…

できる大人のモノの言い方大全

できる大人のモノの言い方大全 はじめに いわゆる語彙力というものは「知っている語数」と「その運用力」の積だ、そんな言説を目にしたことがある。なるほどいくら言葉を知っていても、運用がマイナスなら力も負の方向に作用してしまうケースを上手く言い表…

ニューヨークで考え中3

ニューヨークで考え中3 はじめに 高校生の頃、一冊のエッセイ漫画に出会った。当時は「ことりっぷ」や「aruco」など海外旅行ガイドを読むのにハマっていた。修学旅行でシンガポールに行ったせいで、「海外への憧れ」的なものが芽生え始めた時期だったからだ…

メディア論の名著30

メディア論の名著30 はじめに たくさんの本との出会いをもたらす本がある。和田誠「装丁物語」、筒井康隆「短編小説講義」、「岩波新書解説総目録」、こうした類の本を読めば僕たちはまた新しい本を知ることができる。友人に知人を紹介してもらうような感じ…

アイデアスケッチ

アイデアスケッチ アイデアを〈醸成〉するためのワークショップ実践ガイド はじめに 画期的なアイデアを出すのは難しい。ある課題を解決しようと頭を捻っても、出てくるのは以前にも見たようなものばかり。時折新しそうなものが思いついても、既存物のマイナ…

メガマインド

メガマインド はじめに Twitterに日記漫画を投稿する秋鹿えいとさんが、2020年に見た映画のベスト4を発表していた。 2020年観た映画ランキング ベスト4! pic.twitter.com/Aor1zf4Rc5 — 秋鹿えいと (@aikaeito) 2020年12月27日 どれも面白そうだったので、順…

メディアが動かすアメリカ

メディアが動かすアメリカ 民主主義とジャーナリズム はじめに 連邦議会をトランプ大統領の支持者が占拠する未曾有の事件が起こった。この事件には死者も出てしまった。大統領はこの過激な行為を煽ったとしてツイッターなどのアカウントを停止された。まさに…

金儲けのレシピ

金儲けのレシピ はじめに 力強すぎるタイトルに黒字に金文字の装丁の、実に怪しい本がある。しかも著者名が「事業家bot」。品もへったくれもあったもんじゃない。黒と金の組み合わせが許されるのはローランドだけだ。 しかし内容が気になる。お金が嫌いな人…

医者が教える食事術 最強の教科書

医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68 はじめに 年末年始をだらだらと過ごしていたら幾分か太ってしまった。昨年はわりと摂生していたのだが、年の瀬ということで無礼講。体重増加は当然のことなので結果に悔いはな…

マンガでわかる ブロックチェーンのトリセツ

マンガでわかる ブロックチェーン のトリセツ はじめに ビットコインバブルはとうの昔に終わったと思っていた。TVコマーシャルで芸能人がビットコインを宣伝する事もほとんど無くなったし、消費者庁が注意喚起を行った事もある。そんな逆風もあってビットコ…

名画の読み方

名画の読み方 世界のビジネスエリートが身につける教養 はじめに 先日は『「名」文どろぼう』を読んだが、今回は『「名」画の読み方』。当方美術館に行くのはわりと好きな方なのに、美術への造詣は全くない。どの絵を見ても「きれいだなあ」「すごいなあ」く…

名文どろぼう

名文どろぼう はじめに 以前竹内政明さんの「編集手帳傑作選」を読んだ。笑える文章から大切に取っておきたくなる文章まで、バリエーション豊かなコラムが揃っていた。さすがは傑作選。そんな竹内さんの別著に「名文どろぼう」(文春新書)がある。新聞のコ…

国債がわかる本

国債がわかる本 はじめに 「国債ってなに?」と聞かれると、ドキッとする。「国の借金」であること、日銀の「買い・売りオペ」の話、「マイナス金利」の意味、このような抽象的かつ断片的な知識は披露できるものの、それがどのような実態を持っていて、メリ…

マンガでわかる 亜鉛の基礎と臨床

マンガでわかる 亜鉛の基礎と臨床 はじめに 健康ブーム、と呼ぶにはもはや遅いくらい、様々なヘルスケアが一般化してきている。ジムに通う人がいれば、スキンケアを怠らない人もいて、多くのサプリメントを毎日のように摂取している人もいる。 でもサプリっ…

台湾生まれ 日本語育ち

台湾生まれ 日本語育ち はじめに 久々に読んだエッセイがとても素晴らしかったので紹介させてください。 温又柔著「台湾生まれ 日本語育ち」(白水社)。 全体をみて 本書は第64回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した一冊である。著者の温さんはタイトルの…

マキァヴェッリ 『君主論』をよむ

マキァヴェッリ『君主論』をよむ はじめに 「君主論」とか「マキアベリズム」の言葉には何やら邪悪なイメージがつきまとう。マキアヴェッリが書いたのは、権謀や残酷を用いる恐ろしくリアリスティックな帝王論、そんな風に思っている人は多いはずだ。 世界史…

アパホテル マンガで学ぶ成功企業の仕事術

アパホテル マンガで学ぶ成功企業の仕事術 利益を生み出す逆張りの成功哲学 はじめに アパホテルと聞くと真っ先に思い浮かべるのは帽子を被った女性、芙美子社長だ。理由は分からないけれど、社長があそこまで広告塔を買ってでるおかげもあってか、同ホテル…