森の雑記

本・映画・音楽の感想

自民党 価値とリスクのマトリクス

自民党 価値とリスクのマトリクス はじめに 中田敦彦のYouTube大学で紹介されているのを見てから気になっていた、中島岳志著「自民党 価値とリスクのマトリクス」(スタンダードブックス)を読んだ。 全体をみて 安倍前首相の辞任後、菅政権が発足してから読…

マンガ認知症

マンガ 認知症 はじめに 今の日本は超高齢社会である。2007年に高齢化率は20%を超え、もはや社会の高齢化は恐れて対処するものではなく、現実として向き合い、付き合っていくものになった。介護や認知症、自動車事故など高齢者にまつわる多岐にわたる論点は…

無印良品は、仕組みが9割

無印良品は、仕組みが9割 はじめに 無印良品にはいつもお世話になっている。化粧水やノートなどの消耗品は価格も使い心地も「ちょうどいい」。バターチキンカレーや不揃いバームなどの食品はシンプルにおいしい。服はクセがなくて着やすい。 そんなこのブラ…

モモ

モモ はじめに 超有名なタイトル、ミヒャエル・エンデの「モモ」。多くの方々が小学生の時に手にしたであろうこの作品を、僕はずっと読んでこなかった。しかし、持ってはいた。両親どちらが買ったのだろうか。「モモ」は実家の本棚にひっそりと置かれていた…

永遠の出口

永遠の出口 はじめに 森絵都さんの「カラフル」を初めて読んだ時の衝撃を覚えている。中学生ってこんなに汚くて、辛くて、怖いものなのか、と小学生だった僕は怯えに怯えた。実際私立の中学に行ったこともあってか、そんなことはなかったのだけれど。 学生の…

新聞報道と顔写真

新聞報道と顔写真 写真のウソとマコト はじめに 新聞には写真がつきものである。モノクロだったり、カラーだったり、トリミングされていたりとその掲載方法はまちまちであるものの、紙面を彩るという意味で写真は大きな役割を果たしている。最近はQRコードを…

ボクたちはみんな大人になれなかった

ボクたちはみんな大人になれなかった はじめに 高校生の頃、「東京カレンダー」と「cakes」の連載をよく読んでいた。前者は東京に暮らすアッパー層の生活や小説を、後者はさまざまなクリエイターの「新しい」作品を読むことができた。片田舎で生きる僕にとっ…

言葉から文化を読む

言葉から文化を読む アラビアンナイトの言語世界 はじめに この間に引き続きまたアラビアンナイト関連の本を読みました。 臨川書店、西尾哲夫著。 highcolorman.hatenablog.jp 全体をみて 臨川書店の「フィールドワーク選書」シリーズの本。フィールドワーク…

心にのこるさまざまな話

心にのこるさまざまな話 はじめに 和風で素朴な表紙に惹かれて手に取ったのは、宇野信夫著「心にのこるさまざまな話」(講談社)。タイトルもいい感じ。 著者のこともどんな本かも全くわからないけれど、こういう本を読むときが一番ワクワクする。 全体をみ…

発想の整理学

発想の整理学 AIに負けない思考法 はじめに 故外山滋比古先生が書いた「思考の整理学」のパクリと見紛うようなタイトル、さらに「AIに負けない」といかにも最近ありがちなサブタイトルを備えたこの本を見て、少し嫌な気持ちがしたのは事実である。でもまあ外…

森見登美彦の京都ぐるぐる案内

森見登美彦の京都ぐるぐる案内 はじめに 高校と大学で合わせて5回くらい京都に行った。理由は2つある。中学時代の友人が京都に引っ越してしまい、彼に会いに行くため。それから森見登美彦作品を読んだためである。 新潮文庫から発行された「森見登美彦の京都…

子どもの人権をまもるために

子どもの人権をまもるために はじめに ついこの間まで高校生だったような気もするが、そろそろ自分を子供だと認識するのが難しい年齢になった。就活を経て社会人を目前にすると、いやでも「大人」になっていると感じてしまう。 大人を自認することは、「子供…

SNSマーケティング 第2版

デジタル時代の基礎知識 SNSマーケティング 第2版 「つながり」と「共感」で利益を生み出す新しいルール はじめに 「SNS時代」を叫ぶにはもはや時代遅れの昨今。SNSを使いこなすことはビジネスパーソンに必須のスキルであろう。そしてその使い方は1つではな…

アラビアンナイトを楽しむために

アラビアンナイトを楽しむために はじめに ディズニー映画で一番好きなのは「アラジンと魔法のランプ」だ。去年公開された実写版は3度も見に行った。あの世界の香り立つ感じというか、熱気というか、そんな部分にはどこか惹かれるものがある。いつか実際に足…

スルメを見てイカがわかるか!

スルメを見てイカがわかるか! はじめに 先日帰省したときに、養老孟司・茂木健一郎著「スルメを見てイカがわかるか!」(角川書店)を実家の本棚から拝借した。タイトルに惹かれて高校生だか中学生だかの頃に1度読もうとしたのだが、内容が全然頭に入ってこ…

多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ

多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ はじめに しばらく前にSNSで話題になったJamさんの本「多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。」(サンクチュアリ出版)を、1度読んでみたかった。2年ほど前に出版された本だが、タイトルが特徴的なのでずっと頭…

短編小説講義

短編小説講義 増補版 はじめに 筒井康隆といえば、星新一、小松左京と並ぶ日本SF御三家の1人である。彼が原作を書いた映画「パプリカ」は独特な映像が気になる代物で、いつか観ようと思っている。ネットフリックスのマイリストに入りっぱなしであるが。 そん…

記憶の盆をどり

記憶の盆をどり はじめに 先日読んだ「きげんのいいリス」は小説と呼ぶにはライト、かつ深すぎた。決して貶しているわけではなく、ものすごくいい本だったのだけれど。となるときちんと「ザ・小説」みたいなものを読んだのは色川武大「怪しい来客簿」まで遡…

ずぼらヨガ

ずぼらヨガ 自律神経どこでもリセット! はじめに 最近は若干昼夜逆転気味の生活を送っている。夜思った時間に寝られないことも時々ある。事情があるので仕方ないとはいえ、できれば人らしいタイミングで眠りたいものだ。悩みというほど深刻なものでなく、あ…

The Third Door 精神的資産のふやし方

TheThirdDoor 精神的資産のふやし方 はじめに ここ数日移動が多かったので、道中自己啓発本でも読もうかと思って、アレックス・バナヤン著、太田黒奉之訳「サードドア」を取り寄せた。届いたそれを手に取ると、思ったより分厚く、ずっしりという形容がよく似…

哲学の練習問題

哲学の練習問題 はじめに 思考実験の本が読みたくていろいろ探していたところ、本書に出会った。河本英夫著「哲学の練習問題」は講談社学術文庫から出版されている。このレーベルの本をこれまでに読んだことはおそらく数えるほどしかないので、どんな雰囲気…

きげんのいいリス

きげんのいいリス はじめに 意表をつかれるタイトル。新潮社「きげんのいいリス」は、オランダの作家で医師、トーンテレヘンの著作を長山さきが翻訳した本である。現代を忠実に訳すと「ほとんどみんなひっくり返れた」となるようだが、あえてこのタイトルを…

夜しか開かない精神科診療所

夜しか開かない精神科診療所 はじめに 大きなストレスを感じたことがない。どちらかと言えば気楽な性格だし、小中高大とことさらに負荷の高い環境にいたこともなかった。小学生の時に1度人間関係で悩んだような記憶があるけれど、それだって今思えば些細なも…

自衛隊と憲法

自衛隊と憲法 これからの改憲論議のために はじめに 安倍氏が首相を辞任してからひと月あまりがたった。いまだに「菅首相」の響きには慣れない。それだけの長期政権だった。安倍前首相は周知の通り「憲法改正」を目指しており、賛否両論ありながらも、安倍政…

きまぐれ星のメモ

きまぐれ星のメモ はじめに 星先生1冊目のエッセイ集を読んだ。先月はまた別のエッセイ集「きまぐれ博物誌」を読んだが、これは2冊目のエッセイ集だった。順序が逆にはなったが、こちらもぜひ読みたいと思っていたところ、ようやく読むことができた。 星新一…

財務官僚の出世と人事

財務官僚の出世と人事 はじめに 「財務省にあらずんば」「東大法学部にあらずんば」こんな言葉がまことしやかにささやかれる、官僚の世界。言葉の真偽はさておき、中央省庁では日本きってのエリートたちが日々切磋琢磨していることに間違いはないだろう。中…

英国式 暮らしの楽しみ方

英国式 暮らしの楽しみ方 はじめに イギリスが嫌いだという日本人とあったことがない。和訳するとめちゃくちゃに長い正式国名、アヘン戦争や悪名高い二枚舌外交など、普通に歴史の授業を受けていればまあまあ悪い印象を持ちそうなのに。それでもやっぱり僕ら…

新聞の力 新聞で世界が見える

新聞の力 新聞で世界が見える はじめに 「新聞離れ」が言われ始めてから長い年月がたった。僕の同世代では日経電子版の無料コースに入っていれば、まだ「新聞に馴染みのある」方に分類されるくらいである。20代前半なんて就活時、社会情勢を眺めるために使う…

村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事

村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事 はじめに 村上春樹の小説を1冊しか読んだことがないのにこの本を読むのは、自分でもどうかと思う。翻訳に至っては1冊も読んでいないし。それでも綺麗な表紙と「翻訳」の言葉に引かれて本書を手に取ることを、寛大なファンの…

TENET

TENET はじめに クリストファー・ノーラン監督。超有名なのでもちろん名前は知っていたけれど、インセプションやダークナイトを友人にゴリ押しされながら、なんとなく彼の作品を観てこなかった。いつかはね、みたいな。 そう思っていると、新作「TENET」が公…