森の雑記

本・映画・音楽の感想

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

奇跡の論文図鑑

奇跡の論文図鑑 はじめに 大学生生活では数多くの論文を読んだように思う。それで、ものすごく当たり前のことをいうことになるけれど、やっぱり論文はすごい。何がすごいかと言えば、一つにはほとんどの論文は無料で読めることがあげられる。Ciniiで論文を検…

牡蠣の歴史

牡蠣の歴史 はじめに 「好きな料理は?」と聞かれると答えに困る。カレーライスも好きだし寿司も好きだ。ラーメンだって美味しいしたまに食べるステーキも絶妙である。そしてこれらの間に差があるかと言えば、ない。金額やロケーションに差はあれど、好きの…

東京日記 

東京日記 はじめに 詳細は忘れたがなにかの拍子に内田百閒という作家を知った。読みは「うちだひゃっけん」見たこともない漢字が使われているな、というのが最初の印象である。この作家さんは時を遡ること1971年に死去されているのだが、ファンが多いらしい…

憲法という希望

憲法という希望 はじめに この間塾で公民の授業をしていると、テキストに「集団的自衛権」についての記述を見つけた。少し複雑な概念なので、重要な理由も含めてきちんと教えようとしたら、ついつい喋りすぎた。大学で憲法を勉強したからと言って、公民系の…

銀河ヒッチハイク・ガイド

銀河ヒッチハイク・ガイド はじめに 先日紹介したTSUTAYAの企画「いま、これ読んでる」。これには森見登美彦先生意外にも多くの方々が選者として参加していて、翻訳家の岸本佐知子さんも名を連ねる。僕は「ネにもつタイプ」を読んで以来彼女のファンであるの…

ぼくらの仮説が世界をつくる

ぼくらの仮説が世界をつくる はじめに ビジネス書にはスピード感がある。比較的読みやすいから短時間でコンテンツ摂取が終わるし、書いてあることが現実に根ざしているから即効性もある。これがスピード感の正体であろう。だがしかし、多くの即効薬や短期間…

TVピープル

TVピープル はじめに 読んだことのない作家の本を開くときはいつもドキドキする。好きな作家の作品であれば、読む前からあらすじ等の事前情報が入ってくる。著者SNSをフォローしていたり、巻末に他作の紹介があったりするためだ。翻ってこれまで縁のなかった…

ボートの三人男

ボートの三人男 はじめに 今年の6月ごろ、TSUTAYAが面白い企画商品を売っていた。名前は「いま、これ読んでる」。著名な作家が文字通り「読んでいる」作品をセレクトして、セット発売する商品だ。参加する作家には敬愛する森見登美彦先生や岸本佐知子さんも…

きまぐれ博物誌

きまぐれ博物誌 はじめに エッセイを読むのは面白い。大抵のエッセイは著者の主観や見解がふんだんに塗されているからである。フィクションを通すと間接的に受け取らざるを得ない書き手の思想だが、エッセイならダイレクトに味わえる。それが大好きな著者だ…

ごはんぐるり

ごはんぐるり はじめに 料理は嫌いじゃない。特別おいしいものを作れるわけでもないし、ことさらにワクワクすることもないけれど、料理がめんどくさいと思ったことは一度もない。一人暮らしを始めて以来、当たり前のように自炊を続けていると、いつの間にか…

日本の妖怪

日本の妖怪 はじめに 「妖怪ウォッチ」が爆発的に流行ったことがあった。ポケモンにも言えることだが、やっぱり日本にはキャラものがウケる土壌があるんだと思う。その原点はもしかしたら江戸時代の妖怪ブームまで遡れるかもしれない。 民俗学の本を読んでい…

三島由紀夫レター教室

三島由紀夫レター教室 はじめに 最近は小説を読んでいなかった。ここ1ヶ月では森見先生の新作くらいしか読まずにいた。このくらい疎遠になってくるとなんとなく寂しくなるもので、小説を探すことに。久々に読むのだから歯応えのあるやつがいい。けれどしばら…