森の雑記

本・映画・音楽の感想

ANAとJALこんな違いがあったのか

ANAJAL こんな違いがあったのか

 

はじめに

 感染症の流行で航空業界は壊滅的とも言える打撃を受けた。Gotoを利用して旅行しようとする人はまだまだ少数派だし、航空業界を目指す友人は途中で採用が中止された。エアラインはまさに窮地に立たされていると言っても過言ではないだろう。

 それでもやっぱり、僕らは遠くに行きたい欲求を持っている。感染症が落ち着いたら、これまでの分を取り戻すように観光に出かける人がみられるのではないか。その際にはもちろん、空を結ぶ移動手段が必要になる。飛行機に乗るのが嫌いな人ってほとんどいないじゃないですか。

 行けなくなった沖縄旅行を惜しむ意味も込め、今回はKAWADE夢文庫「ANAJAL こんな違いがあったのか」秋本俊二著 について。

 

全体をみて

 河出書房新社の文庫レーベルから出た本書は「航空ジャーナリスト」の秋本さんによって書かれた。世の中にはいろいろなジャーナリストがいるものである。肩書きに違わず圧倒的な知見からくる膨大な情報は、読む者を一気に飲み込んでしまう。こんなに詳しいと逆に引く。

 飛行機への愛がひしひしと伝わってくる本書を読めば、二つの大きな航空会社の違いや特徴が手に取るようにわかる。書き口も柔らかいので、楽しく読むことができた。

 以下、面白かった部分について。

 

ビッグバード」羽田

 羽田空港は「ビッグバード」の愛称で親しまれているが、これは元々第一ターミナルに付けられたものらしい。中央部分の商業エリアを鳥の胴体に見立て、そこから大きく左右に広がる構造からきているそう。 

 皆さんはこの愛称知っていましたか?愛称をさも当然のように言われると、こちらもうなずくしかないけれど、これってかなりコアな知識なのではないか。業界にどっぷり浸かったゆえに常識レベルが上がりきった人ってめちゃくちゃ面白いですよね。「マツコの知らない世界」的というか。

 羽田の国際線ターミナルの話も良かった。時代劇のような世界を作り込んだ「江戸小路」「はねだ日本橋」どれも美しい。海外から帰ってきた時に見ればさぞ落ち着くことだろう。

 

アライアンス

 「アライアンス」僕は本書で初めてこの言葉の意味を知った。言葉は聞いたことがあったけれど。これは「航空連合」と訳されるべき単語で、世界の航空各社が国際的に提携をすること、単位を指すそう。例えばANAは「スターアライアンス」に加盟しており、ユナイテッド航空中国国際航空と協力関係にある。一方JALは「ワンワールド」の加盟しており、こちらにはアメリカン航空やブリティッシュエアウェイズが所属する。加盟各社はコードシェア(共同運行)に止まらず、運賃や営業面での連携も行っているそう。

 

塗装機

 飛行機はかっこいい。airplane is cool.これは洋の東西に広がる真理である。誰だってあの大きな機体にどこか心を打たれる。時折その機体には塗装が施されることがある。それは特徴的なカラーリングだったり、海の模様だったり様々だ。以下ではANAJAL両者の塗装機を紹介する。

ANAポケモン パンダ クジラ スターウォーズ

JALドラえもん サムライブルー たまごっち ジンベエ

エヴァとかそのうち出ませんかね。

 

機内食

 「空で食事をする」ことはそれだけで価値ある体験だ。100年ほど前までは夢のまた夢だったことが、今はできる。それどころか食事を超え、両者は美食を追い求める。価値ある体験を特別な体験にすべく努力する両者には尊敬の念すら抱く。以下、食べてみたい両社の機内食

ANAビーフシチューとオムライス 機内食総選挙で洋食部門の1位に輝いたメニュー。エコノミークラスでも食べられる。

JAL吉野家の牛丼 地上でも食べられるモノを敢えて空で食べるのって、逆に贅沢。

 

アメニティ

 国際線の上級クラスで配られるアメニティは、両社で高級ホテル顔負けのものが用意される。ここまでくると移動というより空での「滞在」である。moveからstayへと変わっていくのは航空業界のトレンドなのかもしれない。

 いつかファーストクラスに乗ってみたいなあ。

 

おわりに

 大手を振って旅行には行けないご時世ではあるけれど、感染が下火になったらファーストクラスの旅をしてみたいものである。そのために今はお金を貯めよう。大手の前に、無い袖は振れない。