森の雑記

本・映画・音楽の感想

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方

新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方 はじめに 先日「AI時代の憲法論」を読んだ際に初めて知った佐藤優さんと、お馴染み池上彰さんの対談を文春新書から発行したのが本書。発行は「新・戦争論」「AI時代の憲法論」の順だが、僕は時系列に逆らう形で本…

地球からきた男

地球からきた男 はじめに 星新一先生の作品はいつまでたっても色褪せない。小学生の時、初めてショートショートを読んだときの気持ちは、20をすぎた僕にも冷凍保存されたかのように新鮮な状態で届けられる。とはいえ、冷凍保存された物はその前と比べて多少…

医者と患者のコミュニケーション論

医者と患者のコミュニケーション論 はじめに 人間はコミュニケーション能力を求めている。就職活動の面接、友達作り、飲み会…多くの場面で円滑にコミュニケーションが行えれば、人間関係は良好になる可能性が高いからである。そのせいだろうか、巷にはコミュ…

嬉しかったこと

嬉しかったこと 本が好きなおかげで嬉しいことが起こった。それも、同じ日に2つ。 喜怒哀楽等々の感情が読書自体によってもたらされることは多い。素晴らしい小説を読んだ時や、悲痛な事実を伝えるルポを読んだ時など、本それ自体は僕たちに多くの感情をもた…

彼方の友へ

彼方の友へ はじめに 本好きなら誰しもが一度は「自分で小説を書きたい」と思ったことがあるだろう。そして勢いのままに筆をとったはいいけれど、多くの人は生まれた文章の不格好さに落胆し、才能のなさを嘆く。そんな人が次に志すのは、たいてい出版社に勤…

AI時代の憲法論 人工知能に人権はあるか

AI時代の憲法論 人工知能に人権はあるか はじめに 人工知能技術や、その発達を加速度的に推進したディープラーニング技術など、かつてSF小説に登場したようなテクノロジーは、もはや空想のものではなくなりつつある。巷には様々な「AI本」が溢れかえっていて…

ぼっちーズ

ぼっちーズ はじめに 孤独耐性の話をしよう。程度の差こそあれ、人間は誰しも孤独に弱い。社会を形成する人間という生き物は、ひとりになることを得意としないのだ。このことは、コロナショックでより鮮明になったように思う。zoom飲み会などの流行はその現…

新 移民時代

新 移民時代 はじめに 北朝鮮が2018年に設置された南北共同事務所を爆破し、カシミール地方では中印両軍の武力衝突により、少なくとも3人が命を落とした。新型コロナウイルスの流行も手伝ったのだろうか、国際的な秩序には、各地で明確な歪みが生じている。…

僕と先輩のマジカル・ライフ

僕と先輩のマジカル・ライフ はじめに はやみねかおる先生には、「都会のトム&ソーヤ」や「夢水清志郎」シリーズでお世話になった方も多いのではないか。事実、僕は小学生の頃に読んだ「マチトム」が今でも忘れられない。二人の中学生の友情、ユーモラスな…

面白いけど笑えない中国の話

面白いけど笑えない中国の話 はじめに 武漢発と言われることの多い新型コロナウイルスが世界を席巻してから、もう半年がたとうとしている。感染拡大の責任を声高に追求する米国でなくとも、武漢だけでなく、中国全土の公衆衛生状況が危ういことは多くの国が…

神聖かまってちゃん 「22才の夏休み」

神聖かまってちゃん 「22才の夏休み」 はじめに 「夏が近づいてきた」というよりも「もう夏だね」という方が正しい気がするこの頃。それでも、6月が薄れる存在感をアピールするように、少し遅れて梅雨が来る。きっと誰しもが「夏」を意識すると聴きたくなる…

宵山万華鏡

宵山万華鏡 はじめに 日を追うごとに夏が進攻する昨今、いかがお過ごしだろうか。都内でも気温30度を超えるところが出てきたというから驚きである。夏と言われると思い浮かぶ、海水浴、プール、バーベキューなど、多くの人が集まる風物詩も今年は開催の目処…

男尊女卑という病 

男尊女卑という病 はじめに 「プラスサイズモデル」としてご活躍されている、藤井美穂さんをご存知だろうか。僕は初めて彼女の活動を知ったときに、自分に自信を持ち、自分らしさを表現し続ける生活を送る彼女を、心底尊敬した。世間が作る「理想」より自分…

新釈 走れメロス 他四篇

新釈 走れメロス 他四篇 はじめに 太宰治「走れメロス」の物語を全く知らないという人はここ日本にいるまい。さらにいえば、中島敦「山月記」も多くの人の知るところであろう。両者は様々な教育課程においての国語の教科書に取り上げられてきたためである。 …

日本語は映像的である 

日本語は映像的である はじめに 新曜社発行、熊谷高幸さん著作の本「日本語は映像的である 心理学から見えてくる日本語のしくみ」を読んだ。読むのは2度目だ。これまで生きてきて様々な新書に触れてきたけれど、こと大学生期間に限って、一番印象に残ったの…

天国への道 星新一

天国への道 星新一 はじめに 僕が初めて星新一先生のショートショートを読んだのは、小学校4年生の時だったと記憶している。当時の僕はお昼休みの図書室通いを毎日のルーティーンにしていた。外でドッジボールを楽しむ同級生を窓から眺めつつ、空調の効いた…