森の雑記

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気のきいた短いメールが書ける本

気のきいた短いメールがかける本

 

はじめに

 就活を経て、社会人に近づくとメールで事務的なやりとりをすることが増えた。メールでの連絡には慣れていないので、ついつい作成に時間がかかってしまうこともある。もっとスマートに、素早くメールが作れるようになろうと思い、ダイヤモンド社「気のきいた短いメールが書ける本」中川路亜紀著を読んだ。

 

全体をみて

 厚みのわりに短い時間で読むことができる。レイアウトも見やすい。敬語表現など当然すぎることも書いてあるけれど、総じて使える本だと言えそう。シチュエーションごとに「定番」のフレーズを教えてくれるので、メール作成時に辞書みたく使うのがいいのではないか。 

 以下、各部ためになったところを箇条書きで。

 

第1部 気のきいたメール仕事

 メール本文ではなく、「メール仕事」の片付け方を教えてくれる部。

・各位 これは敬語だそう。各位様みたいな使い方は二重敬語になるので要注意。使うのは天皇陛下宛ぐらいにとどめよう。

・メールの終わらせ方 目下orお願いをした側が終わらせるのが鉄則。「お礼」メールを持って連絡終了の合図にする。

・To,Cc,Bcc これらの使い分けを全く知らなかった。Toは当然宛先のこと、Ccは参考までに送る人(カーボンコピーの略らしい)に使う。そしてBcc、用途はCcと同じだが、宛先の人にはわからないよう同内容を送る際に用いる(ブラインドカーボンコピー)。自分にこっそり同報する時や、宛先と同報先の間でメールアドレスが漏れないようにする際に便利。

 

 

第2部 この場面ではこう書く!

・アポイント 具体的な日程・時間を提示することで簡潔にやり取りする。

・約束の変更 理由を書きすぎなくていい。「都合がつかなくなりました」とだけ書き、リスケを。後からの約束を優先したと思われることのないように。これは「三島由紀夫レター教室」にもあった。「せっかくご予定いただきましたのに」等の言葉を添えればお詫びの気持ちも表せる。

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・メールを受け取った 謙譲表現として、「拝受いたしました」が便利。

・贈り物 「心ばかりのものですが」を使う。「つまらないものですが」では相手につまらないものをあげる意思表示となる。

・教えてもらう 「ご教示ください」学問でない場合は「教授」は使わない。

・取り急ぎのお礼 「まずは御礼まで」。

・困った 「つかぬことでご相談があり」ドレスコードの有無や詳細を知りたい時など、冒頭に。

・返信がこない 「届いておりますでしょうか」と確認のメールを送る。

・詫びる 「思わず言葉が走ってしまい」など。

・訃報に 「言葉もありません」・

慶事に 新婚旅行で休む相手などに「仕事は忘れて」。

このほかにもたくさんの用例があった。1つ違和感を覚えたのが、そこそこ高価な贈り物をもらった際の「結構なものをいただきまして」。これなんか上から目線っぽく聞こえませんかね。「素晴らしいものを」とか「大変高価なものを」でよくない?

 

第3部 これだけはおさえたい!

 メールにおける「マナー」「時候のフレーズ」について。

・「させていただく」 『敬語の指針』で「させていただく」は①相手方・第三者の許可を得て行うこと②そのことで自分が恩恵をうける事実、気持ちがある場合 の2パターンで用いるのはおかしくない、とされている。「資料を送付させていただきます」とかは微妙か。

ここからは好きな時候の挨拶。

春前「テレビで今日は立春と聞きましたが、春はまだまだ遠いようです。」年に一回しか使えない上に主観的で面白い。

「うららかな日差しに春の訪れを感じます」空が晴れて明るく照る様を表す「うららか」、なかなか目にしないのでメールの中でくらい使ってあげたい。

「コートを脱いだら気持ちまで身軽になりました」このメールもらったら笑顔になれそう。

「今日はまさに春風駘蕩、道ゆく人ものどかに見えます」もらったら絶対「春風駘蕩」でググる

「今日は七夕、今年も半年がすぎたのですね」ラブレターみたいだね。

「外を見たら、入道雲のガッツポーズに元気をもらいました」小学生の詩みたいで素敵。思わず窓の外を見てしまいそう。

 

おわりに

 メールを送る際には、相手への気配りが大切。煩わしくならないよう、押し付けがましくならないよう、簡潔に読みやすいメールを送ろう。思えばこの本のタイトルだってそうだ。表紙を見ただけですぐに買うか否かジャッジできるもの。