英国式 暮らしの楽しみ方
英国式 暮らしの楽しみ方
はじめに
イギリスが嫌いだという日本人とあったことがない。和訳するとめちゃくちゃに長い正式国名、アヘン戦争や悪名高い二枚舌外交など、普通に歴史の授業を受けていればまあまあ悪い印象を持ちそうなのに。それでもやっぱり僕らはどこか英国への憧れを持っている。それは産業革命という華々しい功績のためかもしれないし、ロイヤルファミリーの優雅な雰囲気のためかもしれない。とかくイギリスと言うと、「洗練されていて気取らないオシャレさ」みたいなものを想像してしまう。
中川裕二著「英国式暮らしの楽しみ方」(求龍堂)は、そんなイギリスの気の抜けた生活を書いた1冊である。
全体をみて
自身の経験をエッセイ的に書き、イギリスの日常をルポ。数回観光に訪れただけではなかなか体験し得ない、地に足のついた文章がなんとも心地よかった。「そんなことまで経験したの!?」みたいな詳細すぎる描写も良い。
以下、気になったところについて。
イギリス人はウェールズ語が読めないらしい。とても意外、同じ島なのにそんなことあるんですね。母音が極端に少ないのが要因の1つだそう。
現在イングランドフットーボールチャンピオンシップにいるチーム、スウォンジーは、ウェールズ国内に本拠地を置くチームでありながらイギリスのフットボールリーグに参加しているけれど、言語面の障害とかってあるんだろうか。まあゴリゴリに外国籍選手がいるイングランドリーグならあんまり関係ないか。
犬はお金を持っていない
イギリス社会はとても犬に寛容である。パブにも入れるし電車にもバスにも乗れるようだ。著者がタクシーに乗る際、運転手に「もし犬がいたら乗せてくれるか」と聞いたところ快く乗せる旨の返事があったそう。ついでに「料金は?」とも聞くと、「え?犬はお金持ってないでしょう?」と。
こういう返事がナチュラルに出てくるあたり、イギリスはやっぱりいいなあ、と思ってしまう。
ボート
本書には中川さんが知人2人とボートの旅をするくだりがある。これ完全にジェロームの「ボートの3人男」だな、と思っていたら、やっぱりそれを意識していたようだ。のんびりとした船旅はイギリスの定番バケーションらしい。
この章はシンプルに読み物として面白い。食事の様子やほんわかした仲間、出会いなど、自分も一緒にボートに乗っているかのような感覚が味わえる。マフィンのような「クランペット」という食べ物が美味しそうだった。
パブ
イギリスといえば、忘れてはいけないのがパブである。フットボーツの試合日、休日、仕事おわり、何かにつけて英国人が足を運ぶのがここである。今は新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされているけれど、いつかは僕も行ってみたい。
それから直接パブとは関係ないが、イギリスでは普段の食事で「温かい」食べ物はスープぐらいらしい。それ以外はハムやサラダなど、冷たい食べ物をとっているそう。日本とは食事への考え方が随分と違う。
おわりに
ページ数もさほど多くないのであっさりと読めた。1度本書を読めばイギリスに行きたくなること間違いなし。僕もメスト・エジルがアーセナルを退団する前にロンドンに行きたかったけれど、ウイルスのおかげでそれも無理そうだ。その前に彼はスカッドから外れてしまったので、テレビ越しにも活躍を拝むことは出来なさそうだけれど。