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医者が教える食事術 最強の教科書

医者が教える食事術 最強の教科書

 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68

 

はじめに

 年末年始をだらだらと過ごしていたら幾分か太ってしまった。昨年はわりと摂生していたのだが、年の瀬ということで無礼講。体重増加は当然のことなので結果に悔いはない。

 なかやまきんにくんも言っていたように、ストレスを溜めずに少しずつ戻せばいいのだと思う。失敗が取り返せないことはない。

 ということで、ダイエット食生活の参考文献に選んだのが牧田善二著「医者が教える食事術 最強の教科書」(ダイヤモンド社)である。

 

全体をみて 

 糖尿病専門医が書いた本なので、ある程度は信頼ができるはず。著者は食生活で気にすべきことは「糖質」「血糖値」であると宣言し、これらのコントロールを主眼においた食事法を提案する。

 ページ数が多いのでちょっと手に取りにくいと思うかもしれないが、後半(4章以降)はおまけみたいなもので、3章まで読めば本書の教えはわかる。まずは半分ほど読んでみるのもいいだろう。

 また出版がダイヤモンド社というだけあって、この本のターゲットは30代〜のビジネスパーソンである。著者もしばしば「ビジネスパーソンなら〜」みたいな言い回しをする。でも若い人だって読んだ方がいい本。

 以下、各章気になったところについて。

 

序章 人体のメカニズムに沿った最強の食事

 人体は糖質を積極的に摂るようプログラムされている。これは有史以前、我らが祖先の暮らしが体に刻み込まれているからである。しかしこの糖質が簡単に入手できるようになった現代と、このプログラムは非常に相性が悪い。結果的に我々は「糖質依存症」とも言える状態に陥った。

 最近よく聞く話である。糖質制限が流行るのもこの風潮によるところが大きい。本書は2017年に出版されたので学説に多少の変化はあるかもしれないけれど、いち早く糖質の危険性を訴えた本のひとつであると言えそう。

 この章で少し気になったのは過去の人類が食べていた食物を「良質」と書いているところ。いやまあその通りというか、今から見れば成分が良質なんだろうけれど、それって大昔基準で作られている我々の体から見れば「良質」よいうよりは「普通」なんじゃないかと。良し悪しは相対的なもので、過去からあまりバージョンチェンジがなされていない体のメカニズムからすると、今の食生活は「異常」であろう。しかしこれは結果としてこの「異常」さが「悪い」ものになっただけで、何千年も前から今と同じ食生活をしていればこれが「普通」だったはずで。まあこんな言葉遊びの建設的でない批判はさておき。

 とにかく糖質過多な食生活は我々の体にあっていないらしい。

 

第1章 医学的に正しい食べ方20

 本書のサビ。ここ最近は常識的になっていても、当時見れば目から鱗だったような記述が満載。以下、箇条書きで。

プロテインはNG 人工的に作られたプロテインで、一度に多量のタンパク質を摂取することは腎臓によくないらしい。まあ過去にプロテインなんてものはなかったので当然と言えば当然か。毎朝プロテインを飲んでいる僕としては耳が痛いが、朝食の代わりに飲むならいいでしょう、ということで。

・オリーブオイルはOK 糖質と一緒に摂取すれば血糖値の上昇が抑えられるそう

・ナッツはOK 不飽和脂肪酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、体にいい成分がたくさん含まれているらしい。きんにくんもクルミをお勧めしていた。

・大豆もいい タンパク質は植物性のものから摂るのがいいらしい。食べ物として点数をつけるなら100点。牛乳を豆乳に置き換えるのもいい。これはやってた。

・酢もいい 第4章で出てくるAGEを下げる効果がある。さらに血圧も下げる。合成酢ではなく天然のものを選ぼう。

 

第2章 やせる食事術

 サビその2。ダイエットに主眼をおいた食生活を紹介。以下覚えておきたいこと。

・ベジファースト 野菜を最初に食べることで血糖値の急激な上昇を抑える。糖質は最後に。コース料理でもご飯・パンは終わりの方に出てくるでしょう。

・3ー5ー2 朝、昼、夜の食べる割合。スペインでは昼食をガッツリ食べて夜はさくっと、みたいな食生活が普通らしいが、これを見習おう。できれば夕飯で炭水化物を摂ることを避けよう。

 

第3章 24時間のパフォーマンスを最大化する食事術

 サビその3。今度は1日を活力あるものにするための食事について。この章くらいからは結構前までの繰り返しになってくる。豆乳がいいとか。糖質は体によくないとか。糖分をとって「すっきり」したように感じるのは、糖分中毒の証であるらしい。糖に依存していなければ、常に一定の集中力を保てるが、糖質依存になると「糖がない」時のパフォーマンスが落ち、摂ると一瞬ハイになる。だから「すっきり」と感じるカラクリ。

 さらに塩分についての記述もある。まあ当然「取りすぎ注意」という話なのだが。塩分過多は腎機能を低下させるので、意識的に減らしていきましょう。味付けはスパイスや酢で。

 

第4章 老けない食事術

 病気や老化現象の犯人として注目される物質AGEと、その発生を抑える方法について。タンパク質や脂質がブドウ糖と結びついてできるというこの物質は細胞に炎症を引き起こすそう。この「炎症」については「最高の体調」(クロスメディア・パブリッシング)にも書いてありました。

 紫外線はこのAGEを増やす?ようなので、日焼け止めを塗ろう。肌が健康になるらしい。

 

第5章 病気にならない食事術

 免疫システムをきちんと働かすための食事について。 

塩分を摂るときはカリウムが含まれている食品を摂ることで、塩分の排出を促しましょう。

 

第6章 100歳まで生きる人に共通する10のルール

 詳しくは本書を読んでもらいたい。「人生100年時代」どうせ生きるならただ生きるだけじゃなく健康に生きたい。

 この章では「コカ・コロナイゼーション」(食文化の現代アメリカ化)という言葉が出てくるが、これってコカコーラから来てるんですかね。

 

おわりに

 食生活を変えるのは難しい、と思うかもしれない。もはや習慣化された風呂上りのアイスクリームや、深夜のラーメン、夕食のどか食い、、、。我々は毎日何かしらを食べて生きているし、長く続けたものを一新するハードルはとても高く見える。

 けれど逆に言えば、食事は毎日やってくる。つまり、改革のチャンスは非常に頻繁に訪れるのだ。もし今日できなくても、明日から。それができなくても「いつかやったんぞ」という気持ちを持ち続けることが大切なのではないか。きんにくんもそう言ってたし。