パブリックスピーカーの告白
パブリックスピーカーの告白
はじめに
人前で話すのはけっこう好きなほうだ。みんなが自分の方をむいてくれているのはちょっとした快感だし、何もしてなくても偉くなったような気分になる。
けれど、今までこう感じてこられたのは、そのスピーチに責任やお金が絡んでいなかったからかもしれない。話す相手はある程度自分のことを知っている人だったからかもしれない。
講演家=パブリックスピーカーは違う。お金をもらい、有益な情報を、自らの知らない人に対してもアウトプットせねばならない。しかも面白く。
今回はそんなパブリックスピーカーの本、オライリー発行、スコットバークン著「パブリックスピーカーの告白」について。
全体をみて
この間読んだ「アイデアスケッチ」的な和訳本。
つまり直訳っぽい日本語が少し気になる。
内容はウィットに富んで面白く、大衆を前に話す仕事について、心がまえやハウトゥーを率直に書いている。というか率直すぎる。
以下、好きなところ。
恐怖は集中を産む
人前で話すのは緊張するもの。しかしこの時「緊張しないように」と考えるのはほとんど無駄。恐怖は無意識に起こる反応であり、意図的に制御するのは実質不可能であるからだ。
ならば恐怖はポジティブに捉えよう。好きな人をデートに誘う時、仕事に応募する時、こんな時人は恐怖するが、それによって「万全を期す」ことができる。不安や緊張は自身を磨くモチベーションに変えてしまおう。
笑ってほしければ
まず自ら笑おう。しかしその時、聞く人と自分がつながっているようにしよう。
酔っ払いの悪ふざけがしばしば笑えないのは、相手と自分が断絶しているから。環境、状況を共有した上でにっこりとすれば、相手だって同じことをしてくれるはず。
スピーチの作り方
・具体的なタイトルを考える(「〜をするのはなぜダメか」など)
・タイトルに関してアイデアを出す。精度、出来不出来は問わず、とにかく出す。
・アイデアに順位をつけ、上からいくつかを残す。
・このアイデアを骨子に話を作る。タイトルは必要に応じて変える。
とにかくアウトラインを作るのが大事。
興味深い存在になるには
正直になろう。ほとんどの人が躊躇うことを言えれば、共感する人が必ずいる。一定数には反感を買うかもしれないが、正直であればまず興味が得られる。
例えば「休日は何をしてる?」という質問に対し、「日によるけど、趣味とかなあ」と答えるよりは、「この間の日曜は一日中ベットに寝転んでネットフリックスをみていた」という方が好感を得られることもあろう。
沈黙は主張
会話中に「あー」とか「えー」とか言わない。これは聞く側の集中を奪う。無駄なことを喋るくらいなら、無言がいい。それどころか意図的な無言はオチを際立たせたり、主張をわかりやすくする効果もある。一流のスタンダップコメディは20%〜30%が沈黙である。直すのは難しいけれど、話している最中の繋ぎ言葉を減らす練習をしよう。
おわりに
人前で話すことのメンタルセットがよくわかった。あとは練習あるのみ。スピーチを上達させる唯一の方法は「練習」だとスコットも言っている。