森の雑記

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できる大人のモノの言い方大全

できる大人のモノの言い方大全

 

はじめに

 いわゆる語彙力というものは「知っている語数」と「その運用力」の積だ、そんな言説を目にしたことがある。なるほどいくら言葉を知っていても、運用がマイナスなら力も負の方向に作用してしまうケースを上手く言い表していると思う。加えて考えると、運用能力が並でも知識が豊富ならそれなりの語彙力が発揮できる、この公式はそんな風に読むこともできよう。

 英単語をいくら知っていても難しい英文が読めないように、反対にいくら文法を知っていても単語がわからなければ英語が理解できないように、ある種の能力は暗記と運用をバランスよくやらないとうまく発揮できないみたいだ。

 ただ、2つの訓練を同時にするのは大事だが、順序はともかくいずれかを鍛えることが大事なことに変わりはない。ならば語彙力を上げるために、話題の達人倶楽部編「できる大人のモノの言い方大全」(青春出版社)を読み、まずは語数を増やしてみよう。

 

全体をみて

 シチュエーションを10種に分類し、それぞれの場面で使うと素敵な雰囲気を醸し出せる言葉をこれでもかと書き連ねた本。言葉を使う状況が例示されるので、「運用」能力も養成することができそう。

 本書で大人の物言いをマスターすれば、人間関係が多少円滑になる。かもしれない。

 以下、各シチュエーション覚えておきたいフレーズ。

 

1 「社交辞令」など

・お早いですね 朝、いつも目にしない人を見かけた時に

・それはそれは(何よりです) 自慢話を聞いた時に

・そういうものですか ハウトゥーを語られた時に

 

2 「聞き方」「頼み方」など

・願ってもないお話です 相手の提案に飛び付きたい時に

・お教えいただきたいのですが 目上の方に質問をする時に

 

3 「断り方」「謝り方」など

・次のお願いがしにくくなりますから 奢りやお礼を断る時に

・あってはならないことでした 謝罪の時に

・とんだ失態を演じてしまいまして 同上

 

4 「気遣い」など

・お心遣い嬉しく存じました 何か気を回してもらった時に

 

コラム 言い換え

 ここに特集される言い換え言葉は、就活ESの「短所」欄とかでうまく使えそう。

 

5 「もてなし上手」など

・〜さんがいないと始まらない 飲み会に誰かを誘う時に

・喜んでお供します 目上の方から食事に誘われ、ぜひ行きたい時に

・実は今日あたり行きたかったんですよ 同上

 

6 「ほめ方」など

・深いですね 万能ほめ台詞

・〜さんでもっている 組織内で相手の存在を肯定的に評価したい時に

 

7 「常識力」など

特になし

 

8 「自己主張」など

・ちょっとお耳に入れおきたいことがございます 目上の方に進言等する時に

・正直な裏のないお言葉をいただきました 嫌味ですか?の言い換え

 この章で紹介される「ムッとした時の言い方」的なものは、そのまま使って上品に切り返すことにも貢献する。加えて内心嫌な気持ちになった時、状況に応じて使うフレーズを決めておけば自分の嫌な気持ちを言葉で消化することにも役立つと思う。マインドセット的にフレーズを対応させておくのもいいかもしれない。

 

コラム ダメな言い方

 「そこをなんとか」頼み事をする際によく使ってしまう言い回しだが、相手の一方的な譲歩を要求する失礼な言い回しでもある。きちんと条件や妥協案を提示した上で交渉しよう。

 

9 「いい人間関係」など

・初物ですね 旬の食べ物を褒める時に

・〜さんの後には歌えない カラオケで

・〜さんの顔を見るとほっとする ちょっと口説き落としたい時に

・「も」 何かを褒めるときは「が」でなく「も」を使おう

 

10 「会議」「電話」など

・お電話が遠いようで 電話越しの声が聞き取りにくい時に

・いただいたお電話で恐縮ですが 電話をくれた相手にこちらから用件を伝えたい時に

 

おわりに

 ここででてきた言葉は単に言えばいいというものではないだろう。笑顔と共に使ったり、あえて戯けて使ったり、場合に応じて「使い方」まで考慮する必要がある。練習あるのみ。