森の雑記

本・映画・音楽の感想

メガマインド

メガマインド

 

はじめに

 Twitterに日記漫画を投稿する秋鹿えいとさんが、2020年に見た映画のベスト4を発表していた。

  どれも面白そうだったので、順番に見ようと思い立つ。まずは青い顔のイラストが気になる、「メガマインド」から。

 

全体をみて

 「メガマインド」は「マダガスカル」や「カンフーパンダ」でお馴染み、ドリームワークス制作の映画だ。ドリームワークスはディズニーの制作部門トップが退社して作った会社らしい。調べて初めて知った。

 いわゆるアメリカのアニメーション映画っぽさがありながら、意外な展開がアクセントになる作品。主人公でヴィランのメガマインドは、どこかスポンジボブイカルド・テンタクルズっぽさがあって親しみが持てる。キモいけど。

 公開年をみてみると、実は2010年。かなり前の作品である。全然古びてない。ストーリーにご都合主義感はだいぶあるけれど、むしろこのくらい都合がいい方が頭を空っぽにして楽しめるので良いのだろう。

 以下、ネタバレに注意しながら見所を。

 

設定

 「もし悪役がヒーローを倒してしまったら?」誰もが一度は考えるIFを作品に昇華してしまうのがこの映画のすごいところ。ライバルを失ったヴィランはいったい何をしでかすのか、これまで視聴者の頭の中にしかなかった映像が、大手制作会社によって表現されるのが面白い。

 また冒頭でさくっと紹介される、「メガマインドが悪役になった理由」も考えさせられるところ。メトロマンという偉大なヒーローと幼少期にあった彼は、その外見からいじめに遭う。常に明るく、みんなに好かれるメトロマン、彼に虐げられるメガマインド、この段階ではどちらが悪かわからない。そんないじめに嫌気がさし、ヒーローとして、人気者として一番になれないことを悟った彼は、「悪」の道で一番を目指すようになるのだ。

 

メッセージ

 この作品の大きなメッセージは「いつだって悪は相対的なものでしかない」というところにあるのではないか。前述したメトロマンの存在しかり、物語が進むにつれてメガマインドに代わる悪が生まれることしかり、「悪」はいつだって絶対的に存在するものではなく、「正しい」とされているものの対極に位置付けられるものでしかない。

 それは「愛」についてもそうで、賛美され、皆から正しさを持って受け入れられる「愛」という概念でさえも、行き過ぎれば悪になる。物語の節々にこのようなエピソードをちりばめることで、悪について考えさせられるのもこの作品の推しポイント。

 

パロディ

 肩肘はった話はさておき、「メガマインド」には分かると笑えるパロディも満載。ドンキーコングバラク・オバマ、スーパーマン、至る所に有名なあれこれへのオマージュがある。多分僕が気づかなかっただけでもっとたくさんあると思うので、注意してみることをお勧めしたい。

 

声優、というか山寺宏一

 本作主人公メガマインドの声優は、あの山寺宏一である。「青くてお調子者のなんでもできる奴」の声優を山寺宏一がやっているのだから、アラジンファンの僕としては垂涎もの。言い尽くされているところだとは思うが、ポップな吹き替えをやらせたら彼の右に出るものはいない。

 

おわりに

 作品の時間も90分と短いので、「さくっと」「ハッピーになれる」「でもこれまでとは一味違う作品が見たい」と思ったら、まずはこの作品をみることを勧めたい。ディズニーやピクサーが好きならなおさら。