マンガでわかる 亜鉛の基礎と臨床
マンガでわかる 亜鉛の基礎と臨床
はじめに
健康ブーム、と呼ぶにはもはや遅いくらい、様々なヘルスケアが一般化してきている。ジムに通う人がいれば、スキンケアを怠らない人もいて、多くのサプリメントを毎日のように摂取している人もいる。
でもサプリって実際どうなの、と思く。ビタミンは食物から十分に取れそうだし、コラーゲンを経口摂取するのにどんな意味があるのかもわからない。サプリに興味はあっても、実際無駄なのでは?と疑ってしまう。
だから、きちんとエビデンスを調べてみよう。でも難しい学術書は読みたくない。そんな時に出会った本「マンガでわかる 亜鉛の基礎と臨床」(金芳堂)を読んだので、ここにまとめる。
全体をみて
著者は医師の小野靜一さん。そこそこのポストにつく医師の本ということで、信頼できそうだ。
まず、マンガと言ってもあくまでイラストに文字が添えられている程度なのでストーリー展開があるわけではない。加えて添えられる文字も多いので、結局読む手間はかかる。文章も(当然だが)臨床データや専門用語への言及ばかりだから、全部読むのはそれなりに労力がいる。
というとまるでタイトル詐欺を喧伝しているようだが、論文や学術書と比べて読みやすいのは間違いない。著者の亜鉛にかける情熱もひしひしと伝わってくるので、興味と時間があれば読んでも決して損はないだろう。
以下、特に興味を持った箇所。
免疫と亜鉛
欧米の薬剤師に「亜鉛の効果は?」と聞けば、当たり前のように「免疫の改善」と返ってくる、と小野先生は言う。日本では髪のことだったり肌のことだったりに言及されがちなので、ちょっと意外。
体内の血清亜鉛値が低下すると、マクロファージや好中球の機能が低下するらしく、獲得免疫の力が落ちるそうなので、免疫力の低下を感じたら亜鉛サプリメントをとることを先生はお勧めする。
免疫力が落ちているって言うのは、風邪をひきやすい状態のことを言うのだろうか。いずれにせよ体が弱っている時に亜鉛は有効なのかも。
髪と亜鉛
テストロテンは男性ホルモンの一つ。これが5αリダクターゼⅡ型と結びつき、薄毛を進行させるジヒドロテストロテンになる。
亜鉛に5αリダクターゼⅡ型の働きを抑える効果があるらしい。つまり薄毛の進行予防には亜鉛が有効、と小野さん。
ALSと亜鉛
この分野についてはまだわかっていないことが多く、断定的なことは言えないようだが、難病ALSにも亜鉛やマンガンが関わっているそう。
肌と亜鉛
ビタミンに負けず劣らず肌の健康に大事なのが亜鉛。ニキビ患者に亜鉛、または亜鉛とビタミンAを与えたら、84%の人に効果があったと言うデータも。傷の治りも亜鉛投与で早くなるらしい。
ここに関してはエビデンス不足と言うか、ニキビなんて普通にしてても治ることが多いので、闇雲には信じられない。僕がこの本を読んだのは最近ニキビが気になってくきたからで、この辺の記述には期待していたのだけれど、イマイチ。思春期ニキビに限定しているっぽい記述も気になる。まあ肌のサイクルに亜鉛が関わっていること自体は間違いなさそう。
おわりに
ニキビを治したいという不純な動機から読んだ本書だったが、結構いろんなことを学べたので良かった。肝心のニキビに関してはもう少し調べが必要か。