森の雑記

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森見登美彦の京都ぐるぐる案内

森見登美彦の京都ぐるぐる案内

 

はじめに

 高校と大学で合わせて5回くらい京都に行った。理由は2つある。中学時代の友人が京都に引っ越してしまい、彼に会いに行くため。それから森見登美彦作品を読んだためである。

 新潮文庫から発行された「森見登美彦の京都ぐるぐる案内」は、森見先生が愛してやまない京都を紹介する本である。2011年に出版されているので、高校の頃も読めたはずなんだけれど、本書の存在を知ったのは大学に入ってから。先日京都に出かけた際にはついに本書を持参して聖地巡礼に勤しんだ。

 

全体をみて

 手軽な紀行文というか、エッセイのような本書。ガイドブックの役割も果たしてくれるので、京都に出かける森見ファンは必携。スポットごとに森見作品から文章が引用されているので、腐れ大学生や狸たち、明石さんが駆け回った記憶を蘇らせながら読むことができる。京都に向かわずともおもしろい一冊。書き下ろしエッセイも2本収録されている。全ページカラー、写真付き。

 以下、本書収録の名スポットについて。

 

鴨川

 等間隔カップルでお馴染みの鴨川。昼にゆっくり散歩するのもよし、夜に祇園の光が漏れる河原で缶ビール片手に語るもよしの鉄板スポット。作品にも度々登場するが、最も印象的なのは「四畳半神話体系」か。

 しばらく川沿いを歩くと通称「鴨川デルタ」があるのだけれど、僕は一度も行ったことがない。毎回時間がなくてそこまで歩くのを諦めてしまうから。いつかゆっくり時間を取ろうと思う。

 それから下鴨神社も。糺(ただす)の森の近くにある矢一郎たちが大好きな神社は、名物「下鴨納涼古本市」の開催地でもある。こちらもシーズンが合わず行ったことがないのでいつか行きたい。

 

進々堂・スマート珈琲店

 森見作品の喫茶店といえばこの2つ。両者ともおいしいコーヒーとパンが味わえます。特にスマート珈琲店ではタマゴサンドを食べよう。ボリューム満点。「聖なる怠け者の冒険」を読んでから食べるとなおよし。

 収録エッセイの1本目で森見先生は「喫茶店で構想を練る」のは「憧れ」だと書くが、まさにその通り。ビジネス的あれこれとか作業的あれこれでなく、喫茶店でじっくり構想を練るのは全人類の憧れではなかろうか。そんな時にはスタバやドトールより古い喫茶店がよく似合う。

 

太陽の塔

 京都じゃないけれど収録されているスポット。それも当然、森見作品には「太陽の塔」があるから。先日京都旅行に出かけた際には少し足を伸ばし、初めてこの塔を見たけれどやっぱり圧巻。「第4の顔」伝説や地下空間など、ワクワクする語り草もあってかとても神秘的な雰囲気だった。クレヨンしんちゃんの「大人帝国」も思い出す。

 

レストラン菊水

 四条大橋を渡ってすぐ、レトロモダンなレストランが見える。それこそ「有頂天家族」でお馴染みレストラン「菊水」である。上品かつ気取らないこのレストランには一度行きたいと思っていたが、先日ついに念願かなってお邪魔できました。夏にはビアガーデンもやっているようなので次はそちらにも。

 近くには北京料理「東華菜館」もあるのでこっちもいつか行きたい。

 

キッチンバーエイト

 今回改めて本書を読み、隅の方に発見した飲食店。京都で「電気ブラン」が飲める希少なお店らしく、行ってみたいと思った。偽物でないことを祈ろう。

 

おわりに

 次に京都に行けるのはいつだろう。しばらくはいけないかも、と思うとやや恐ろしい。