森の雑記

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月曜断食 食べ過ぎる現代人

月曜断食 食べ過ぎる現代人

 

はじめに

 サッカー部におけるプレーヤーとしての活動を終えてから早半年。コーチとして大学4年生を始めることも叶わず、コロナウイルスで活動自粛。運動量が現役のころより確実に落ちているから、体つきが少し丸くなったような気がする。食べる量を選手の頃より減らそう、と決心した際に出会った本、「月曜断食」。

 断食というと、真っ先にイスラム教徒のラマダーンが思い浮かぶ。敬愛するフットボーラー、メスト・エジルも教えに従って、アスリートとして無理がない範囲で断食をしていることだし、引退した自分も断食にチャレンジしてみようか、と思い、読み始めた。

 

全体を見て

 読んでみて、これはアスリートにはできないぞ、と思ったのが第一印象。月曜日は水のみで過ごし、ほかの曜日も「1食こぶし2つ分」に抑えることを説く本書の考え方と、スポーツ選手的栄養摂取はおそらく両立できない。

 内容は、科学的エビデンスに欠ける経験談をベースとしたものであり、いまいち説得力が足らない気がしないでもない。なかでも、「朝食が物足りないときには、たんぱく質を足すのではなく、発酵食品であるキムチ、納豆をお勧めします。」という記述には驚かされた。納豆はたんぱく質が豊富な食品ではないか?

 この記述はきっと植物性たんぱくと動物性たんぱくを分けているのだろう、きっと。

 とはいえ、現代人は食べる量が多すぎている、という意見には説得力があったし、必要以上のものを食べ過ぎている自覚は多くの人持っていると思う。自分の食事を見直すという意味では、本書は非常にためになる。

 

1章 「月曜断食」とは

 1日3食、もしくはそれ以上。これを毎日続ける現代人の胃腸には休みがない。胃腸の機能を回復させるメンテナンス期間がないために、消化の効率が落ち、太りやすい体質になる。それなら、胃腸が消化ではなく回復することにエネルギーを注げる「休腸日」をもうけ、体調を良くしていこう。その休腸日には水しか飲まず、いわゆる「断食」をしよう。以上がざっくりとした本書のコアである。

 毎週月曜を断食日にし、これをひと月ほどつづけると、睡眠の質が向上したり、体が軽くなったり、メンタルが安定したりするらしい。

 

2章 断食実践

 この章では月曜断食のやり方を教えられる。

月曜 水のみ

火曜~金曜 朝 旬のフルーツとヨーグルト

      昼 おかずのみ 

      夜 野菜料理(アルコールOK)

土日 三食好きなものOK

 おおまかにいうとこれが一週間のサイクルとなる。アルコールは糖質が低いモノしたり、1食は咀嚼後こぶし2つ分の大きさを目安にしたりと、細かな制約はあるものの、こだわりすぎず、まずはチャレンジしてみることが大事。

 序盤はどうしても空腹が苦しくなるが、そんな時にはスポーツドリンクを少し飲むと、糖分が補給されて楽になるらしい。この苦しみも3週目あたりにはなくなる。

 こんな風に、月曜断食を実際にすすめる手順が説明されていく章。

 

3章 楽に断食を行う知恵

 とはいえ、食事をとらないというのはきついもの。そんな時に必要なマインドセットを教えるのがこの章。

たとえば、ダイエットをする際に言いがちな言葉「忙しい」。でもよく考えれば、忙しいなら食事をとる暇も少ないはずであり、これは断食にはもってこいの環境だ。忙しいときは、お昼に牛丼をかっこんだり、朝作業をしながらサンドイッチやおにぎりを食べたりと、ゆっくりと食事に集中できない。これでは食事の満足感がなく、量は食べているのにものたりなくなって、間食に手を出してしまう。こうなるくらいならいっそ食事をとらないほうがいい。忙しいときこそ、食への執着心を手放しやすい。

 こうしたマインドセットは、確かに納得できるものが多く、断食を実際にやらずともためになる部分がある。

 

4章 Q&A 

 断食をした人から良く出る質問をまとめた章。

 Q「おなかがすいて眠れない」

 A「そのうち空腹が心地よくなる」

 Q「空腹をまぎらわすためにガムをかんでいいか」

 A「唾液によって胃酸が分泌され、空腹感が増すのでやめたほうがいい」

 など、たしかに自分も聞きたくなるような質問と答えがいくつも出てくる。

 

5章・6章 断食後・体験談

 5章は昼食には好きなものを食べる、次のひと月の「月曜断食」について。落ちた体重の維持を目的に、食べ物事の消化時間にフォーカスした食事法が書かれる。また、上級編として、もっと体重を落としたい人向けの断食についてもここで説明される。

 6章では、実際に断食をした人の体験談がまとめられる。当然だけどいいことしか書いおらず、女性のものしかない。男性にはやっぱり向いていないのか。

 

おわりに

 本場イスラム教の断食は日が出ている間は不食、沈んでからは自由というルールがあり、夜に食べ貯めをするからむしろ食料の売れ行きが増えることもあるそう。あちらの精神浄化を目的にする断食と違い、体調向上を目的にする「月曜断食」は「月曜休食」とでも呼んだほうがいいと思う。月曜断食のほうがインパクトがあるから表紙映えするのだろうけど。

 断食・休食、どちらにせよ、食事を見直すことが大切である、というこの本の教えは身に染みる。自ら食生活を管理する一人暮らしに給食は出てこないのだから。